立つ鳥跡を濁さず

2015年2月24日1:49 PM

mokuzou
 昨年夏、博多木造アパート築45年入居者3名の立退き依頼。その中の1人70才男性1人住まい。入居歴20年

 蒸し暑い夏の午後3:00 初めての訪問。この瞬間は、何度経験しても緊張する。
 トントン ノックしても出てこられたのは、七分袖ステテコ姿の老人男性は、
昔の若気のいたりなのか、全身○○○ミ。「来た~ッ。」
動揺を悟られぬように、要件を話し、「今日は、ごあいさつに参りました。又
詳しい事は、後日お伺いしますので宜しくお願いします。」「わかった。」
ドアを閉めた。蒸し暑い!一抹の不安。「ごねられるかなぁー仕方ないな」
後日ノックする。又そのままの格好。「まあ上がって下さい。」
言葉は訂正、お茶が出るが、正直、きれいな茶わんではない。
しかし飲まない訳にはいかない。「いただきます」グーッと飲む。ぬるい・・・
 本題に入る。他の入居者と同じ内容、引越代はいくら、敷金はいくら、冷静に正直に話していく。「大体話はわかった。私の昔からの知り合いがいるのでそちらと話して下さい。」「どういうご関係の方ですか?」
「昔から世話になってる人の身内です。」
どんな人なのか、少し怖い 知り合いの登場は経験上最悪。である。
いい事は1回たりとも無い。

 2、3日後私の携帯に着信。落着いた女性の方。
 翌日、待合せ場所に行き、同じ話をする。長年のカンでわかる。普通の女性ではない。慎重に同じ話をする。
 しばらく沈黙「わかりました。そういう事ならその金額に+20万円して下さい。それならば承知します。但しいらない荷物はそのまま置いていきます。いいですね。」「はい それならこちらで処分します。」「わかりました。」
他の方よりトントン拍子に進み、
 明渡し当日、お邪魔すると鍵はあいたままで、玄関上がりがまちに
鍵と手紙。「引越しました。お世話になりました。残金は口座へ振込んで下さい。」とある。(内金同意時に現金渡し、残金を明渡し確認後となっている。)
恐る~部屋に入ると。何とテレビ、タンス、テーブルきれいに整理整とんされてビシーッとしている。畳もゴミ一つ無い。
まるで年末大掃除のあとみたいだ。
 まあ見事なまでの潔ぎよさというか、感心するやら安心するやら
 ここまでキレイに明渡しをされた方は初めてで、普通はグチャグチャである。
 人は見かけによらないものだなぁ~。


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